京都大学 大学院人間・環境学研究科/総合人間学部・(併任)大学院地球環境学堂 生物多様性保全論分野 瀬戸口浩彰研究室

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近況

2020年度

2020年3-4月 年度末・新しい年度

 今年は新型コロナウィルスの影響で卒業式や入学式がなくなり、当事者となる皆さんにはお気の毒な年度末・年度初めになりました。卒業するのは学部4年の近江さんと増田君です。近江さんは大阪で学校の教師になります。増田君は院進学です。がんばってください。
 また、推進費のプロジェクトが終了して梅津さんと安江さんが勤務を終えることになりました。お二人のこれまでのお仕事に深く感謝します。
 4月からはメンバー構成が大きく替わりました。また、瀬戸口は大学院地球環境学堂の大所帯である環マネの専攻長を担当することになり、この仕事で周囲に迷惑をかけずにできるのか、研究との両立や、心と体の健康維持に不安を抱えてのスタートになります。謙虚に、コツコツと、空き時間を上手く使いながら修養したいと思います。

2019年度

2019年6月 保全の打ち合わせ@東京

 東大の小石川植物園で育成部の皆さんと小笠原希少種の保全に関わる共同作業をしてきました。左はタイヨウフウトウカズラ。タイヨウは「大きな葉」に由来しているので、実に見事な育成です。皆さんと真面目に、しかし楽しいひとときを共有してきました。私が院生時代に育成をお願いしたニューカレドニアやバヌアツの植物もしっかりと生きているのを見せて頂き、大いに感激してきました。30年前の大学院時代、南太平洋諸島一人旅で貧乏・過酷・不安との戦いでしたが、楽しいことも沢山あったなと思います。翌日は京大の丸ノ内オフィスにて打ち合わせをしました。窓からは東京駅が一望できる贅沢な場所です。が、これはほんの一瞬のことで、実際には窓のない小会議室で4時間以上、真剣な打ち合わせになりました。貴重な植物が将来にも生き残れますように。

2019年6月 15年目 まだまだ佐波江浜

 今年も琵琶湖の東岸にある佐波江浜で、町内会や水資源機構の皆さん(そして琵琶博に勤務する大槻君も)と一緒にハマゴウの保全作業をしてきました。昨年に雨天で中止になった2年分の雑草や灌木と闘うタフな作業になりました。土曜日にも関わらず参加してくれた研究室の皆さん、お疲れ様でした。

水資源機構 琵琶湖開発総合事業所のホームページへのリンク: http://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/news/19060801/19060801.pdf

2019年3月 卒業式・修了式

今年は亀岡君が博士課程を、中舛君と孫田さんが修士課程を、長澤君と浅岡さんが学部を卒業しました。おめでとうございます。
4月から亀岡君は京田辺の大学で先生になります。中舛君は会社員になり、孫田さんは博士課程に進学します。長澤君と浅岡さんは修士課程に進学です。皆さんの活躍を期待しています。

2018年度

2018年9月

今月は卒業生の結婚式がありました。おめでとう! また、大学院修士課程の入試で、新しく入るメンバーが内定しました。
8日には時計台の百周年記念館で、大学の春秋講義を担当しました。今年は、こうした講座ものが多くあります。
「みんなちがって、みんないい−生きる環境に合わせて多様性を獲得した植物」
春秋講義の様子はこちら
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/social/events_news/office/soumu/shogai/news/2018/180922_1.html
この講義内容ですが、追って京都大学のアーカイブスとして録画映像(全ての講義内容:90分間)が公開される予定です。

2018年8月 盛夏

今年は地球環境学堂の宮津(京都府)での実習、教養の木曽駒ヶ岳実習、福島県川内村調査、韓国での野外調査が続き、その合間に人間・環境学研究科の公開講座で話しました。
更にその間に環境研究総合推進費の中間報告会などがあり、暑さを忘れるぐらいの仕事量になりました。良かったのは研究室の同窓会、卒業生の皆さんががんばっていること、良い人生を歩んでいることを知ることができたことでしょうか(翌日からの国外出張のために、早く抜けてしまい、すみませんでした)。
人間・環境学研究科の公開講座は「賀茂の流れと社叢林の植物学」というタイトルで、内容は冊子になって公開される予定です。写真は下鴨神社の糺の森です。
公開講座の関連ページはこちら
https://www.h.kyoto-u.ac.jp/academic/event/open_course/

2018年7月 梅雨の晴れ間

卒業生の結婚式がありました。おめでとう!

2018年6月 梅雨のなかでも

ハノイ大学の行事の際に山極総長に直訴して進めた、京都大学と京都府立植物園の連携協定が実現しました。総長にお願いしたのが10月、本部総務課と京都府庁で協議を進めて戴くとともに、人環の総務掛長をはじめとする学内部局の皆さんの力で、短期間に実現に辿り着きました。
「植物園では保全はやらない。絶滅危惧種は全て京大に返してこい」という園長命令で、キブネダイオウの苗を突き返されたこと、長澤温室係長(当時:のちに園長)が長崎の潜伏キリシタンのようにアマミアセビの苗を隠れて増やして下さったことが、遠い昔のように思われます。
会場の植物園研修室は、普段は展示されている植物で綺麗に彩られていました。胡蝶蘭は京都府の西川知事の当選お祝いのものが使われているそうです。
京都大学の公式な広報ページはこちら:
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/events_news/office/soumu/shogai/news/2018/180603_1.html

2018年5月 五月晴れ

卒業生で済州島に暮らすハナさんがご家族の皆さんと研究室に寄ってくれました。京都に居た時と容姿も人柄もまったく変わっていないハナさん、今の暮らしがとても幸せな証なのだと思います。

2018年4月 桜の下で

鴨川のソメイヨシノの下で、出町の餅屋:ふたば の桜餅を愉しみました。
研究では「第1花開花時期」とか「繁殖成功度」「訪花昆虫相」などの視点で花を見る癖が付いてしまっていますが、屁理屈ぬきに「綺麗だね」と鑑賞するのもいいですね。
そんな中で「桜餅につかう葉はオオシマザクラで、香りの成分は・・・」などとうんちくも披露されています(場を読まずにこんなことを語るのは、研究室に一人しか居ません)。

2017年度

2018年3月 卒業式、学位授与式

今年は山本君と若林さんが大学院博士課程を、近藤君、高橋君が修士課程を、そして坂上君が学部を終えました。山本君は滋賀の大学で、若林さんは奈良の女子大で先生になります。近藤君と坂上君は会社員に、そして高橋君は引き続き「入院(院博士課程進学)」です。みなさん、おめでとう!これから、ますますがんばってください。

2018年3月 まだ底冷えのする貴船川にて

京都市役所が主催するキブネダイオウの野生復帰が行われました。植える主役は、校庭で域外保全をしてくれている京都市立鞍馬小学校の子供たちです。植える植物は京都府立植物園によって育てられたものです。京都府と京都市が連携してこのような実りある行事が出来たのは、ひとえに担当者の心意気によるものでしょう。これでキブネダイオウは域外保全拠点が2カ所でき、そして野生復帰まで進めました。対策は施していますが、これから鹿の食害からどのように守るかが課題になります。

2017年11月 高浜にて

福井県高浜町のオオキンレイカの苗を定植する域外保全園(これで町内で4カ所目。野生復帰集団は2カ所)を青葉山の麓のハーバルビレッジに作りました。里親として植物を維持して下さった皆さんが集って、遺伝子型を考慮した配置に沿って植え込みをしました。この中には、オオキンレイカと青葉山の保全に最期まで関わって下さった故松岡様の苗もあります。
善意の皆さまに見守られて、オオキンレイカの数は確実に増えていくと思います。

2017年11月 ベトナムにて

京都大学とハノイ工科大学の合同シンポジウムに派遣されました。 こちらの学生さんはとても優秀で、希望とやる気に満ちていました。初日は京都大学の卒業生がハノイで組織している同窓会に招かれました。ベトナムからの国費留学生として日本で学んだ卒業生たちが、社会でしっかりと活躍していることが良く判りました。研究室に籠もっていると見えない、京都大学が他国の国作りや人作り、社会作りに貢献していることをよく理解しました。翌朝、ホテルから大学に向かう送迎バスの最前列に座ると・・・もの凄い数のオートバイが車とともに走っていました。ものすごい密度のなかで、互いの「間合い」の感覚で走っているので、見ているだけでもアドレナリンが出ます。私はこうしたアジアの熱気が大好きです。
この出張中には、山極総長に直にお話しする機会があり、ある計画が進みそうです。後日に報告が出来るかも知れません。

2017年5月 フィールド調査の季節

今年度の研究室のメンバーは「春咲きの植物」を研究しているひとが多いためか、フィールドに出かけて不在の人たちが多く居ます。
私は2カ所だけ出かけてきました。写真左は、Plants on "splash mountain" (正確にはsplash waterfall、か)。なかなかタフな調査でした。
右の写真は、先月に大学の広報室から出されたパブリックレリースで、奄美大島・徳之島のカンアオイ固有種の多様性形成過程が急速な適応放散に拠るとした報告です。
国立公園への指定や、世界自然遺産登録に貢献できれば・・・と思ったのですが、反応して下さったのは地元の鹿児島と奄美大島の新聞社でした。

2017年4月 新学期

今年の春は寒かったために、京都でも桜の開花が遅れました。鴨川ではソメイヨシノとレンギョウとユキヤナギとボケが一緒に咲くのを初めて見ました。写真は研究室の窓から見える東側の景色:中庭の山桜です。京大に来て4月に咲くのは初めて見ました。夜にはちょうど十三夜ぐらいの月が出ていたのですが、上手く撮影は出来ませんでした。
今年度は孫田さんが修士課程に進学しました。学部では3回生の長澤君と浅岡さんがデスクをしっかりと確保しています。環境省の3年間のプロジェクトが終わり、研究員の服部さんが勤務を完了しました。中川さんは4月まで経理を勤めます。この推進費の実践では、ほんとうに人材に恵まれ、そして良い人たちに支えられて進めることが出来ました。感謝、多謝です。沢山の希少種を植え育て、沢山の人たちの参加で出来上がった研究ですので、推進費が終わっても、この事業は続きます。そして新規課題でスタートする環境研究総合推進費の事業で、安江さんが勤務をスタートしました。

2016年度

2016年3月 卒業式

今年は韓さんが博士の学位を、野添君が修士の学位を、そして中舛君が学士になって卒業(修了)をしました。
韓さんは故郷の山東省に帰って大学の先生になります。野添君は東京の会社に勤務します。そして中舛君は大学院に進学することになりました。おめでとう!ほんとうによく頑張りました。若者を送り出していくのは大学の使命だと判ってはいるのですが、長い期間を一緒に過ごした人たちが去って行くのは少し寂しい感があります。

2016年2月 さわがしき時期

毎年のパターンですが、秋ぐらいからHPの更新が滞ります。仕事の混み具合がゆとりを無くしているのかもしれません。2月は博士論文・修士論文・卒業論文の審査と提出、学部と大学院の入試などのメニューが沢山あります。京の街中は節分祭などで賑わうのですが、行事を愉しむ時間が無いのは仕事をする能力が低いためでしょうか。パソコンに向く時間が長くなりがちなので、せめて時々外を見るようにしています。研究室がある建物から北を眺めると、三高時代からの鐘の背景に青い空が覗いていました。もうすぐ卒業していく人たち、そして新しい人を迎える季節がやってきます。

2016年8月 アラスカにて

今年は8月上旬に阪口・瀬戸口は木曽駒ヶ岳で植物野外実習を行い、前期の授業を終了しました。その後に阪口さんは北海道・中国に調査に出かけ、瀬戸口はアラスカ西海岸部で半月間の調査を行いました。日程の中で氷河を対岸に見る湖畔で止むなくキャンプをする機会がありました。アラスカの夏は8月後半でも20時までは真昼のようで、22時まで明るい環境です。同じ植物種でも、日本とアラスカでは日長に対する反応がまるで異なっているのでしょう。写真は左から、氷河から流れてきた氷の塊、ウィスキーのオンザロック用に削りだした氷、そしてジムカデ(ツツジ科)です。氷河の氷は極めて大きな力で圧縮されているので含有空気が少なく、カップの中でも溶けにくくて長持ちします。天の川が見える星空の下で更新世後期に由来する氷を味わいつつ、系統地理を論じる経験をしました。

2016年7月 青葉山でオオキンレイカの観察会

福井県高浜町の小中学校の児童生徒さん、先生、保護者、教育委員会、青葉山麓研究所、自然観察指導員、京都府立植物園の皆さんと、青葉山に野生復帰させたオオキンレイカの開花株を観察しました。皆さんが里親として育てて下さったオオキンレイカが、一部の個体で見事に開花しました。昨年の植物相調査で見つかった杉の天然林も観察してもらい、皆で大木の円周を測って貰うことも試みて貰いました。後日に学校で直径を出して貰ったところ、2mあったそうです。学校の算数と野外の観察が結びつく機会があるのも良いものですね。

2016年6月 今年もまだまだ佐波江浜

琵琶湖の湖岸に生きる希少植物種の保全に関わってから、ずっと続けている行事です。近江八幡市の佐波江地区の自治会が主催して、水資源機構さんと一緒に、初回からずっと続けています。植物の保護保全の研究は簡単、実践は大変です。本気で保護をするには、泥にまみれて汗をかき、継続することが大事です。今年は柵がだいぶ劣化してきました。滋賀県庁さん、柵だけでも何とかしてくれませんかねぇ…

2016年5月 紅萌

大学の広報誌「紅萌ゆる(くれないもゆる)」の授業紹介の項目で取材記事が載りました。半年間、大学の陳列棚に並ぶ広報誌ならびにHPで晒し者になります。恥ずかしい。。。広報誌の表紙にも、佐渡島で撮影したミスミソウの集団内花色多型の組写真が採用されました。こちらは嬉しいことです。

2016年4月 糺の森

卒研で入室した総合人間学部の坂上くんが、アメリカ横断旅行に出かける前に、下鴨神社の糺の森で、研究材料のサンプリングをさせて頂きました。同期の中舛くんと助教の阪口さん、そして瀬戸口の計4名で行いました。まず社務所で半被をお借りした後に、玉串を捧げて安全を祈願しました。半被はなかなか似合っていますねぇ。その後に丸一日をかけて、森の中の欅や椋、榎と格闘しました。

2015年度

2016年3月 卒業式

今年の卒業生は学部生の大島さんと高橋くん、修士を終えた亀岡くんです。大島さんは4月から東大の院へ、高橋くんはこのまま人環の院へ、亀岡くんはそのまま博士の院へ、それぞれ「入院」することになります。皆さん、良き入院生活を!そして無事に退院して下さいね。写真は学部の卒業式の様子です。亀岡くんは学会で不在でした。大島さんはハマダイコンを濃硝酸で分解してICP-MSで成分を調べるという荒仕事をこなしました。土建屋さんが使うような大型レンチも使いこなして、見事な仕事っぷりでした。

2015年7月 盛夏

祇園祭が終わって,京都にも暑い夏が来ました。大学院生たちは,サンプリングで東北や秩父に出かけたり,鴨川水系の氾濫でコドラードや調査中の植物が流されて途方に暮れたり,暑いなか文化財調査の案内と獣害対策で青葉山を歩き回ったり,論文を投稿したり,いろいろな時間を過ごしています。私は環境省の環境総合研究推進費のプロジェクトがちょうど半ばを迎え,霞ヶ関で中間評価ヒアリングを受けてきました。事前の発表練習では仲間からダメ出しを受けて,何度も修正を重ねて本番に臨みました。そのような日常のなか,卒業生の山中さんから今年もポカリスエットのプレゼントを頂きました。どうもありがとう!みんなで美味しく頂きました。

2015年5月 福井県高浜にて

昨年の10月に高浜の小中学生,市民の皆さんに預かって頂いたオオキンレイカの苗が大きくなったので,これを植え替える行事を行いました。オオキンレイカの里親のご希望が増えて,このプロジェクトへの皆さんのご尽力に感謝感激です。沢山の子供たちに囲まれて植え替えの指導をしているのは,京都府立植物園の平塚さんです。これから成長期を迎えるので,ぜひ,多く育てて挙げて頂きたいと思います。114個体のオオキンレイカは,この秋にそれぞれの進路を辿る予定です。

高浜の小学校で気付いたのですが,何処の校庭にも二宮金次郎像があります。大切にされているのですね。オオキンレイカの里親:「二宮金次郎」として参加して頂いて,像の周りにオオキンレイカを植えても良いなと思いました。 。

2015年4月 今年もサクラ咲く2

今年は博士課程に山本君が入室してチチブイワザクラの研究を継続することになりました。入学式の後からすぐに「サクラソウ前線」を追いかけて北上 してサンプリングを完了しました。若林さんは修士からテーマを継続してD1です。今年は次世代シーケンサーで出したゲノム比較やRNAseqの知見をまと めたり,組み換え体の作成を進めます。4月からさっそく,北海道の個体の鍵遺伝子を宮古島の個体に導入する実験を基礎生物学研究所で行いました。韓さんは D2で,いま不都合な真実に向き合っていますが,「捻り」のある面白い知見に展開が出来そうで,むしろ良かったように思います。
修士課程では亀岡君が4月早々に佐渡島に一ヶ月籠もって観察をしてきました。そしてM1には青葉山の植物相を研究する野添君と,キブネダイオウを研究する 坂上君が,B4にはカンアオイを研究する高橋君とセシウム動態をハマダイコンで研究する大島さんが入りました。人数が多くなってきましたので,皆が相互に 教え合い学び合う空気が出来るようにしたいものです。

写真は昨年に続く御苑のサクラの調査で,二条城の裏手(非公開部分)です。白川砂で照り返しが強い分,桜の花も上下から光が当たって美しく見えるように思いました。二条城は堀川の砂礫が堆積した上にあるので,サクラやカエデの樹形が美しくなるそうです。

2014年度

2015. 3月吉日 おめでとう ~その2

学位授与式で大槻君と東君が博士を、若林さんが修士を授与されました。雨降りで心配だったのですが、ちょうど良いタイミングで晴れ間が出ました。 翌日の学部卒業式では、秦君が卒業しました。

秦君は1年間メキシコに交換留学制度で先方の大学で生物学を勉強していたので、卒業研究は実質、半年間でし た。しかし見事に英語で(スペイン語ではないのが惜しい!)卒業論文を書き上げました。もうすぐ国際誌に投稿です。秦君を採用した会社は、人を評価する晴 眼を持っていると思います。皆さん、おめでとう。そしてこれからもがんばってください。

2015. 3月吉日 おめでとう ~その1

この度に韓さんが結婚しました。ご主人は母国に居られるので、しばらくは別居生活が続きますが、どうか幸せなご家庭を築いて欲しいと思います。

すっかり春めいた穏やかな午後に、居合わせたメンバーでお祝いをしました。韓さんが持っているのは蛤を模した漆塗りの小皿です。蛤の縁起のように、ご夫婦で仲良く過ごして下さいね。

2015. 1月 みんながんばっています

新年おめでとうございます。今年は博士論文が2つ、修士論文が1つ、卒業論文が1つの提出と審査があり、さらにD1やM1, B3の人たちの論文原稿も1stあるいは2ndバージョンが出来ています。学生の皆は、本当によく頑張っています。問題は、私が論文を見る仕事のスピードが追いつかずに迷惑をかけていることです。という訳で、新年の私の最初の仕事は、国外のジャーナルの論文査読を2件、お断りすることから始まりました。年末にはビール会社に勤める石橋君が研究室に来てくれて、自家工場で生産しているヱビスビールを差し入れてくれました。これでがんばろうと思います(ホンマか?)

写真は福井県高浜町の中山寺で拾ったムクロジの実です。この中に黒い種が1個入っており、羽根突きで使う羽根の重り(錘)になります。でも「羽根突き」という遊びそのものがなくなりつつあるのですね。果肉にはサポニンが多く含まれていて、昔は石鹸やシャンプー代わりに使われたそうです。

2014. 11月 大根・ダイコン・だいこん

東京農大に勤務する三井君から、実習で大量に栽培されたダイコンのお裾分けをいただきました。青首ダイコンを想像していたのですが、箱を開けてビックリ!いろいろな色と形があるのですね。日本ではレアな黒大根も入っています。一番驚いたのは、見かけは普通なのですが、切った中にアントシアニンが大量に蓄積されたタイプ。これは見た目にも楽しいし、高いお金を払ってアントシアニンのサプリメントを買う必要もありません。人間は光合成も、気の利いた物質合成(例えばビタミンCやフラボノイドなど)も出来ませんので、食と医は、同じ源なのですね。栽培ダイコンには大量のKが含まれています。味噌汁にダイコンを入れたりするのも、実はNa/K摂取比を考えると理にかなっています。私たちのラボでは、野生種を実験に使っていますが、栽培ダイコンの品種の進化も楽しいものだと思いました。

2014. 9月 同窓会

今年は例年よりも一月遅れで同窓会を開きました。今年は祇園の中華料理になりました。毎年思うのですが、どうやってこういう良い店を探してくるのだろう?と思います。遠くから、近くから11人の卒業生が参加してくれました。忙しいなか、有り難うございました。研究室の現役学生にとって、同窓の先輩たちの話はとても関心のあることだと思います。来られなかった人の中には、新しく父親になった人、もう一人お子さんが生まれた人たちもいれば、転勤で新しい場所に馴染もうとがんばっている人も居ます。卒業した一人一人が、しっかりと生活していることを誇りに思います。

2014. 8月 アリューシャン列島

今年の海外学術では、アリューシャン列島のウナラスカ島とアダック島に出かけました。アラスカ州州都のアンカレッジからの往復になりました。 両方の島ともに、森林が全くなくて、ツンドラ植生が発達しています。アダック島ではハイキングコースの道が途中でなくなっている場所も多く、地図とGPSとsixth senseで進みました。まるでグリーンカーペットの上を歩いて居るみたいでした。足下は日本で言う「高山植物」「湿原の植物」です(写真はエゾツツジ:日本と同種)。 何度も川を渡り、夜の9時半過ぎにようやく道に戻りました。運良くよこにヘラジカ狩りに来ていたおじさんたちが居て、ピックアップトラックで宿まで乗せていってもらいました。ライフルを持ってみるかい?と言われて、川の横で記念写真を撮りました。顔はにやけていますが、実は脚が疲労でガクガクでした。この川には大量のサケが遡上していました。自然溢れる島でしたが、例え小さな島でも侮ってはいけないことを実感した一日でした。日没時刻が22時時近くで良かったです。

2014. 7月 福島県大熊町にて

 土壌の放射性セシウムを軽減する実験で、今月も大熊町に入りました。毎月一回、朝5時に家を出て伊丹発福島空港行きに乗ると、最終便を使えば日帰りで実験作業が出来るのです。大熊町産業建設課のY様と船曳三春ICで待ち合わせて、町の公用車に乗り換えて帰還困難区域で作業をします。
 研究そのものは3年目、大熊町では2年目になりました。大熊町の職員の皆様には現場の維持管理やこうした作業を支援頂き、岡山大学の共同研究の先生方には分析で支えて頂いています。福島第一原子力発電所から南に3kmもない場所で、特別な許可を頂いて立ち入りをしています。町中は地震のあとの緊急避難後のままです。人気の無い保育園、人気の無い学校、車が3年間も止めたままの病院駐車場を見ていると何とも言えない気持ちになります。
 今日はいつも気になっていた場所で車を止めて頂きました:整地作業をしていたショベルカーがそのまま3年間放置されて、アームのところに藤の蔓が絡んでいました。時間の経過を物語っているシーンです。工夫を積み重ねて、町のリーダーが「かえろう」と呼びかけられるように、私も町職員の皆さんとともに汗をかいていきたいと思います。

2014. 5月 幸せの小径

研究で佐渡島に行きました。共同研究で受け入れて下さった先生、支えて下さった技術職員の皆さん、有り難うございました。佐渡には鹿やカモシカがいないので、きれいな山野草が当たり前のように残っています。日本各地が鹿の食害で植生が破壊されるなか、天国のような景色が広がっていました。あまり列挙すると採りに行く人に情報を与えるので、お見せできないのが残念です。ピンク・白・紫・赤・新緑・青い空、ほんとうにカラフルでした。写真左はカタクリの小径です。

ただし、人につきまとって血を吸おうとするブヨは、写真には写りません。右の写真は、お弁当を食べる亀岡くん:体の周りをブヨに蚊柱みたいに囲まれて、こんな体勢で食べていました。黒い服がいけないのでしょうかねぇ・・・胸元に白い三日月模様を入れたら、ツキノワグマです。

2014. 4月 サクラ咲く

新年度を迎えて、北白川にある武田薬品の京都薬用植物園で椿鑑賞をしてきました。日本の伝統園芸である椿の多様性は、ひょっとしたらバラを凌ぐのではないか、そんな思いを持ちました。

綺麗だな、と素直に思うも良し、花形態の制御機構に思いを巡らすのも良し、良い一日でした。迎えて下さった植物園の皆様、解説して下さった古平様、ありがとうございました。

また、府立植物園と森林総研のサクラ調査に同行して、桂離宮、御所、修学院離宮のサクラの品種を調査する機会に恵まれました。写真は紫宸殿の左近の桜で す。伝統的に公家社会では山桜系が好まれたそうです。広い園内の沢山の樹木をきちんと管理し、品種を維持している宮内庁の職員の皆さんに脱帽です。見事な 伝統品種が沢山ありました。ソメイヨシノの綺麗さが霞むようでした。

2013年度

2014. 3月 卒業式

今年は学部生の妹川さんが卒業です。一年間で立派な研究を仕上げました。海岸や琵琶湖で採集し、実験用の植物育成器で様々な条件を変えて育て、分析実験ではゴーグルを付けて植物体を濃硝酸で電子レンジ(実験用の特殊なもの)で溶かして、原子吸光法で元素量を計測していました。お菓子をメインにした食品会社で働くので、こんどはスイートな世界の分析をして下さいね。

卒業式

2013. 9月 北海道大学にて

北大で日本植物学会の第77回大会が行われて、研究室からは6題の講演を出しました。
今年は研究室の卒業生:三井裕樹さん(@東京農大・助教)が若手奨励賞を受賞して、その表彰式がありました。
受賞の題目は「渓流環境における生態的種分化の多面的な解析による検証」です。陸上植物の種分化過程の研究において、生態的種分化という事象を明瞭かつ緻密に検証したことが高く評価されました。
おめでとう!

2013. 9月 北海道大学にて

2013. 8月吉日 今年も同窓会を開きました

場所はいつものイタリアンレストラン。京都独特の細い小路を入った場所も、すっかり慣れました。
今年は川島くん、照沼さん、嶋本さん、池田くん、三井くん、菅原さん、八木くんが参加してくれました。
とても楽しい一時を過ごすことが出来ました。ありがとう。

2013. 8月吉日 今年も同窓会を開きました

2013. 7月下旬 福島にて

2013. 7月下旬 福島にて

2年間続けている試行実験の総仕上げで、福島県大熊町の久麻川地区に入りました。
いつもと同じように、町役場の職員Tさんが会津若松から同行して下さりました。第一原発から わずかに2.5 kmの地区で、全身防護服と手袋、長靴で守ります。しゃがんで作業をする際の地面の線量は、携行するカウンターの測定限界を超えてしまう危険な場所です。育てていた植物を回収して、放射線量を測ります。
近くには大熊川が流れます。ここはサケが遡上する川だそうで、何事もなければ自然の恵みが豊かな美しい場所です。
子供たちが「ふるさと」の記憶を維持できる期間は長くありません。
どんな方法でも良いから、早く戻れる途を拓きたいものです。

2013. 7月下旬 福島にて

ちなみに、ここでは意図的に沖縄産と茨城産の同じ植物を植えました。
同じ植物でも、レスポンスが全く異なること、面白いと思いませんか?これはHPの「研究内容」とも重なっています。大熊町の現地事務所で、安全な路面で並べて写真を撮っていたところ、町職員の皆さんが「同じ植物もこんなに違うの?」と驚いておられました。
上が沖縄産、下が茨城産です。

2013. 盛夏1

ミヤコグサの採集で、女満別空港(関空から直行便がある!)からサロマ湖畔に出かけました。空港に降り立つと、気温が35℃! 炎天下での採集になりましたが、原生花園は美しいものでした。
スケジュール的にはTouch and Go、もっと現地に滞在したかったなと思います。

盛夏1

2013. 盛夏2

今年にSビールに就職したIくんからお中元が届きました。エビス3種の詰め合わせとキレートレモンです! 神戸の植物園に就職したOさんからは、その強力なライバル製品の詰め合わせが届きました。そしてO製薬に勤めるYさんからは、今年もポカリスエットを頂きました。
有り難うございます。みんなで頂きま〜す。

盛夏2

2013. 7月上旬 岩山にて

京都府立植物園、京都府庁、高浜町教育委員会、そして地元のボランティア団体の皆様と、とある岩山の絶滅危惧植物種の調査をしました。いまから5年ほど前に、個体数が一気に激減したそうです。「プロ」の山取業者の仕業だと思いました。彼らには、岩山に「千円札」が沢山ぶら下がっているように見えるのでしょう。何の法規制も彼らには通用しません。イタチごっこみたいですが、これから数年をかけて回復の道筋を探ります。
それにしても、怖い場所でした。
一番右側で下を見下ろしているのが院生の東くんです。

7月上旬 岩山にて

2013. 6月末 今年も佐波江浜

6月末 今年も佐波江浜

今年も佐波江町町内会、水資源機構の皆様と一緒に、佐波江浜のハマゴウ群落の維持作業を行ってきました。幸いに曇り空になり、作業は比較的楽になりました。
 そして、大きなご褒美があったことを知らされました。ナント、佐波江浜のハマゴウ群落が、「佐波江浜海岸動植物生息・生育地保護区」として指定されたのです。滋賀県告示109号で、3月末の滋賀県の公報で告示されていました。ハマゴウが「良い状態で」生育していることが理由に挙げられていました。
 7年前に地権者:水資源機構に相談して、当時の湖南管理所長:小島さんがハマゴウをどのようにして守るか、真摯に向き合って下さったのがきっかけでした。小島さんを介して佐波江町町内会の皆様とつながりが出来て、この活動に至ります。
この植物群落は佐波江町の財産として、滋賀県の財産として、ずっと残っていくことでしょう。

6月末 今年も佐波江浜

2013. 5月中旬 岩山にて

いま横浜国立大学にいる卒業生:倉田さん(いえいえ、倉田准教授ですね)との研究の一環で、埼玉県秩父の武甲山にある(株)秩父太平洋セメントの採掘現場に出かけました。倉田さんが院生の頃は、ニューカレドニアのニッケル鉱山でサンプリングすることが多く、そのときにもヘルメットを着用していました。なぜか倉田さん絡みの仕事ではヘルメットを被ります。 みんなが見上げているのは、これから発破・採掘予定の場所に残っているチチブイワザクラで、貴重植物を回収した後に石灰岩を採掘するそうです。
問題は、これらの植物を、どのようにして維持していくか、です。

5月中旬 岩山にて

2013. 5月初旬 芦生にて

久々に研究室で芦生演習林にて合宿をしました。
トロッコ道には植物が残っていますが、奥の方はバイケイソウだらけで、鹿の食害が本当に深刻でした。
みんなのポーズは、妹川さんが将来に勤める会社のトレードマークなのですが、分かりますか?

5月初旬 芦生にて

2013. 4月 嶋本さん(現:平井さん)の修士論文の受賞

嶋本さん(現:平井さん)の修士論文の受賞

日本雑草学会が刊行する英文誌:Weed Biology and Managementに2011年に掲載された論文の中から、嶋本祐子さん(現:平井祐子さん)が修士課程のときに行った研究論文が年間最優秀論文に選ばれました。沖縄の道端やサトウキビ畑に沢山生える帰化植物種:タチアワユキセンダングサは、中途半端な回数の除草(機械による地上部刈り取り:1年に2回)を行うと、むしろ形成種子数が増えてしまうことを指摘した論文です。この現象は生態学分野ではOvercompensationと呼ばれ、本来は鹿などの草食獣に食べられてしまうことに対する植物の防衛機構として認識されています。いま沖縄県が行っている除草は、ちょうど「中途半端な」除草に該当しており、結果として種子を多く再生産していることになっていました。
この研究は、西表島で圃場を借りて行った実験です。遠い場所で暑いなか、とても大変な思いで研究をした甲斐がありましたね、嶋本さん。

2013. 4月 春の鴨川

春の鴨川

荒神橋から下鴨神社がある北側を見た様子です。左岸は桜が満開で、枝垂れ柳もだいぶ芽吹いてきました。地域の子供たちが「亀石」と呼んでいる飛び石が賑わう季節です(いま東京などに住む卒業生の皆さん、懐かしいでしょう…)。

2013. 4月 一年ぶりの更新

昨年、それまで使っていたWeb Hosting サービスが無くなってしまったために、忙しさもあってwebの公開を怠ってしまいました。大学の情報センターのサーバーをお借りして、ようやく再開です。
 まずは卒業式・修了式の写真を・と思ったのですが、全員が揃ったものが無かったので、修士論文公聴会のときの1コマです。今年は5名の修論と1名の卒論を、すべて英文の即・投稿バージョンでつくりました。
皆よく頑張りました。

一年ぶりの更新

2011年度

2012. 3月 学位授与式と卒業式・そして忙しい3月

学位授与式と卒業式・そして忙しい3月

今年も大学院生が3人、学部生が2人、修了(卒業)をしました。松田君は出版関係に就職を、大槻くんと東くんは博士課程に進学です。正田君と米田君も学内の他の研究科に進学します。それぞれの場所で「花開く」ことを期しています。
 今月には、新学術領域研究の会合が沖縄のOIST(沖縄科学技術大学院大学)で行われました。いままで日本国内では見たこともない、凄まじく豪華な研究施設でした。京都大学の学生は、ラボの風景を見たら雲泥の差に愕然とすることでしょう。ゲノム解析のレベルが国内でもトップクラスであることは、設備だけではなくてそこで働く人たちの人材力であることもよく判りました。領域メンバーによる発表や佐藤矩行先生の特別講演など、とても多くの刺激と感銘を受けて帰ってきました。がんばらなければ。

2012. 1月 日常

毎年のことですが,12月から2月にかけての3ヶ月間は,文字どおり多忙を極めます。院生と卒研生の提出論文を,peer reviewの学術誌に英文で投稿できるレベルにまで仕上げる作業を この時期に一気に進めるからです。PIとして腹を括って,自分では実験を止めて(フィールドには出かける)研究の組み立てと論文化に専念して6年が経ちますが,毎年この時期は「地獄のように楽しく」,終わると「心身がぼろぼろ」になります。ほんとうは自分でコツコツと実験をするほうが性に合っているのかも知れません(もっとも,老眼でピペットマン操作ができるのか?と言われそうですが)。
 年末〜今月第2週にかけては,基生研で次世代シーケンサーを使った実験の前処理を続けています。使用させていただく機器は高価なものですが,裏側にあるコンピュータと膨大なHDにその実があるように見受けられました。実際に HDは高頻度で交換を要するそうです。これから情報の海に溺れないように気をつける必要がありそうです。

日常

2011. 9月 孫

東京農大の先生になった三井君の研究室の学生さんが KYOの標本を閲覧しにやって来ました。初めて「孫弟子」に会いました。東京都市大学の先生をしている倉田さんのラボには昨年から指導学生がいたので 「初孫」ではありませんが、会ったのはこれが初めてでした。研究職に就いた卒業生は 全員が関東にいるために、私が東京での学会をサボって会う機会がなかったというのが正確な表現かも知れません。 孫弟子が出来ることは、嬉しさ半分・自分の老けを思うこと半分。いままだ時間があるうちに やるべきことをやり、次の世代に伝えるべきことを伝えたいと思います。

2011. 9月 サンプル

アメリカ農務省(USDA)から研究材料が届きました。ナズナのABRCからも、国内の提供して下さる研究者からも種子試料が次々に届いています。科学の進捗にしっかりと付いていきたいと思います。その一方で、新種の記載原稿も準備していますし、旧態の系統分類の研究や海外学術調査も進んでいます。傍目には「いろいろ」に見えるかも知れませんが、軸は「種分化・進化多様性」からぶれていません。最終的には きれいにintegrateしたいと思います。

サンプル

2011. 8月 同窓会

 27日に四条烏丸で同窓会を開きました。集まってくれた卒業生の皆さん、ありがとうございました。わざわざ来ていただくのは ほんとうに申し訳ないことであり、でも久々に会えることは 嬉しいことです。来ることが出来なかったみんなが見ることが出来るように、写真を貼ります。解像度をわざと落としてありますが、誰がいるか、わかりますか?ちなみに、古賀君の奥様も入っています。
 私は偉そうなことを言える人間ではありませんが、卒業した皆さんが、社会で、家庭で、しっかりと根を張って暮らしていることは研究室としての大事な 業績 です。
 29日には、海邊君が息子さんを連れて研究室に来てくれました。これに合わせて梅津さんもお子さんを連れてきてくださりました。ラボの中は、Kid's dayのようになり、子育ての経験がない(当たり前か・・・)院生たちが戸惑っているのは面白い光景でした。
 データ・解析・論文・トラブルシューティングなどで、決して楽ではないラボの日々ですが、こんな日々があっても良いな と思う8月末になりました。

同窓会

2011. 6月 日常

 あまりの忙しさに、HPの更新をする余裕がありませんでした。科研費の成果報告書には、成果を掲載したHPのURLアドレスを書く欄があるので、本当はもっと充実した内容を掲載しなければいけないのですが。
 今年度の研究室は、かつて経験したことがない人数:11名になりました。かつて、飲み屋さんのテーブル1卓で歓送迎会をやっていたことを思うと、大増員です。教員が一人だけの研究室なので、容量を超過気味であると省みています。今年のもう一つの特徴は、ソウル大学とシドニー大学からも進学者があったことです。夏には一年間の予定で中国から客員研究者が来られます。研究室の日常が、ちょっとだけ国際的になったなと思います。
 最近に意図的に進めてきた研究軸の一つが、「日本の野生植物」かつ「ゲノム基盤が整ったモデル植物」かつ「人の暮らしにも関わる植物」の環境適応と種内分化です。これからの進化多様性・分類の分野は、このような研究が一つの軸になるのではないか、そんなことを思いながら研究の構図を模索しています。しかしその反面、新しい勉強が多くて大変です。調子に乗っていると個々の院生とのディスカッションも不足してくるので、研究の足下が崩れないように、気を引き締めなければいけません。

日常

2010年度

2011. 3月24日 卒業式

昨日に続いて良い天気に恵まれました。石橋・八木・山田くんの3人が卒業をしました。
普段と全く異なる装いで 証書を持つ姿をみていると、大学から社会人への狭間にいる若者たちと一緒に居ることを思い起こさせられます。三人ともに立派な研究を仕上げました。それぞれ論文の形で学術雑誌に掲載されることでしょう。

卒業式

2011. 3月23日 学位授与式がありました

三井くんと菅原さんが、それぞれ博士と修士の学位を頂きました。授与式に出かけるまえに、時計台のまえで居合わせたメンバーと写真を撮りました。写真で私の右側にいるのがDr. Mitsui, 左側が菅原さんです。4月から三井くんは東京農大で助教を、菅原さんは京都市の行政職で勤務を始めます。二人とも、ほんとうに立派な研究を仕上げました。これまで博士を取得した院生は、みな博士課程を3年間でクリアしたうえに4月1日付け採用で研究職に就いていることになります。修士課程を終えた院生もみな、きちんと研究を進めた上で順当に社会に出ています。こうしたことは、後に続く皆にとって 励みとなっていることと思います。
菅原さんは引き続き地元にいますし、三井くんの職場には最新の次世代シーケンサーがあるそうです。これからも二人とのご縁は続いていくことでしょう。

学位授与式がありました

2010. 12月 京都にて

研究室がある建物の窓からは、この時期にきれいな色彩をみることができます。学位論文などの大量の仕事が集中して「修羅場」と化す直前のひとときです。

京都にて

2010. 11月 九州にて

宮崎の都井岬まで、日帰りでサンプリング調査をしました。朝一番機で出かけ、最終便で帰るという強行スケジュールでした。いつかは、電車でゆったりと出張したいものです・・・
ソテツの根には、気中窒素を固定するシアノバクテリアが共生しています。今回の研究の対象は、このシアノバクテリアです。

九州にて

左)シアノバクテリアが共生する珊瑚根    右)珊瑚根の断面。緑色の皮層細胞に、シアノバクテリアが共生している。

2010. 10月 研究室にて

卒業生の壇さんが、研究室に遊びに来てくれました。壇さんは卒業後に、某 都市銀行に入行した"銀行員"です(かっこええなぁ・・・)。研究室に居たときには、西表島のシマイワウチワという絶滅危惧植物の集団遺伝構造を解析しました(Conservation Genetics 10: 859-867)。卒業してから時間が経ちましたが、研究室にはナント、壇さんがサンプルを保管していた缶が、中身もそのままに残されていました。メンバーが次々と社会へ出て行き 入れ替わる中で、昔の痕跡が残っているのは嬉しいものです。ちなみに壇さんが最近異動した支店は、卒業生の一人が勤務する会社の本社ビルの中にあります。きっと、出会う機会があるでしょう。

研究室にて

2010. 9月 黄色い宝石

環境省・日本植物園協会の関連の事業の一環(京都府立植物園のNさんがリーダー)で、写真の植物の自生地を調査してきました。普段から自生地を見守り、場所を案内してくださった皆様にお礼申し上げます。6年前にK君が調べたとおりに,茎長が25 cmを越えると開花するという計測結果が得られました.作られる種子の大部分は土のうえに落ちてしまい、おそらく 次世代形成に寄与できていないのかも知れないと思いました。この美しい固有植物が、自然のなかで維持されていくことを願っています。

黄色い宝石

2010. 9月 名古屋にて

9月8日から、名古屋で植物学会の大会が開かれ、研究室からは5件(他研究機関との共同研究を含めると6件)の口頭発表をしました。全ての日程が終わり、一般向けの公開シンポジウムが後半にさしかかった頃、会場の外にはOBの池田くんと院生たちが、写真のように輪になって真剣に話し合っていました。まるで、運動部が試合の後に反省会をしているみたいで、面白くなり、ついつい、携帯で写真を撮らせてもらいました。実際に、真面目に意見交換していました ・・・先生が茶化していてはいけませんね。反省。
この学会では、これまで密かに進めてきたプロジェクトの成果を、ある方に打ち明けて、研究を一緒に進めていく体制を構築してきました。まだネット上にはopenにしませんが、成果は春頃に論文原稿になることでしょう。

名古屋にて

2010. 7月 京都にて

7月24日に、卒業したOB,OGを交えて、同窓会を開きました(連絡が取れなかった方、ごめんなさい)。東京や大阪、沖縄に在住の卒業生たちが集まってくれました。ありがとうございました。かつてキブネダイオウを研究したK君とは、院修了から久々に会うことができました。みんな元気にしていることを、何よりも嬉しく思います。
そして、同窓会には参加できなかったOBの古賀君が、月末に「突然」訪ねてきました。古賀君はシンクタンクで、生物多様性と経済活動を分析していますが、この日は京大の別の場所で仕事があったそうです。古賀君は在学中から生物多様性に関心を持ち、絶滅危惧のバイカモの研究をしていました。 大変に忙しそうでしたが、体をこわさずに頑張ってほしいと思います。(左が古賀君、右はカンアオイの研究をしている松田君)

京都にて

2010. 6月末 琵琶湖にて

近江八幡市の佐波江浜にある、ハマゴウ自生地の草刈りを、佐波江町自治会と水資源機構の皆さんと一緒に行いました。今年で4年目になります。柵を設置して草刈りを始めたときよりも、ハマゴウの群落の状態がとても良くなりました。
 時折、雨が通り過ぎるなか2時間半ほどの草刈りでしたが、最後は汗と雨と泥で、参加者はビショビショ、ドロドロでした。ついでに私は蜂に刺されました。
 絶滅危惧の植物を、研究することは大切です。しかし研究として向き合うだけでは、これらを守ることは出来ません。本当の目的が「論文書き」ではなくて「守ること」であるならば、最後まで責任を持ちたいと思います。この行事は、そのことを思い起こさせてくれる、研究室にとって 大切なものです。

琵琶湖にて

2010. 5月中旬 琵琶湖と海岸の植物

海から琵琶湖に陸封されてしまった植物を研究しています。今日は、総合人間学部の学生さんたちと、とある海岸に調査に来ました。晴天のなか、ハマヒルガオとハマエンドウが満開です。私は学生の皆さんからちょっと外れて、次の研究題材を夢想していました。博士課程まで長持ちしそうな題材が、この浜にはあります。

琵琶湖と海岸の植物

2010. 4月吉日 中庭の桜

研究室の窓から見える中庭の山桜が咲きました。
研究室を卒業したみなさんに・

中庭の桜

2009年度

2010.3. 末 三井君の学会発表賞の賞状が届きました

3月中旬に愛知で行われた、日本植物分類学会にて、D2の三井君が発表賞を受賞しました。屋久島で生態的に住み分けている2種(研究内容の後半を参照)の進化が、3万年前であることをIMモデルで推定した、レベルの高い研究内容です。
3万年は、旧石器時代の後半です。オオカミからイヌが作られ始めたのと同じタイムスケールで、野生植物の進化が起きていることは、刮目すべきことです。

三井君の学会発表賞の賞状が届きました

2010.3.24 卒業式がありました

今日は学部の卒業式です。
東くんと西村くんの二人が卒業しました。
二人の卒論は英語で書かれており、そのまま学術雑誌に投稿されます。学会発表も3月中旬に済ませました。よくやりました。
4月からは二人ともに修士へ進学します。

卒業式がありました

2010.3.23 学位授与式がありました

池田啓君が学位授与式から帰ってきました。
今日から正式にDr. Ikedaになります。
卒業研究から6年間、研究をよくやってきました。4月からは東大で助教の生活が始まります。

天気が雨なので、恒例の時計台前での撮影ができませんでした。明日は卒業式、晴れると良いのですが。

学位授与式がありました